その後のその後

iOSエンジニア 堤 修一のブログ github.com/shu223

新しい楽器をつくるハッカソン「Play-a-thon」に参加してきました

つい10日ほど前に TechCrunch ハッカソンに参加した件について書いたばかりですが、実は今月の6(木)、7(金)、21(金)、24(月)と何と4日間、しかも平日(!)*1 という日程で、「新しい楽器をつくる」というコンセプトのハッカソン、その名も「Play-a-thon」に参加してきました。

参加のいきさつ

10月のある日、珍しく IAMAS の小林先生から Facebook Message が届き「これは何か面白い仕事の予感・・・!」と思って読んでみるとこのPlay-a-thonへのお誘いでした。


すごーく興味をそそられたものの、

  • 日単位で時間(と技術)を切り売りしているフリーランスエンジニアという立場上、n日の予定を入れると n × {日単価} の出費と実質的に同等
  • 当時既に同じ11月に開催されるTechCrunchハッカソンへの特別参加エンジニアとしての参加も決定していた。1ヶ月に合計6日間ハッカソン。。
  • 執筆含め既に予定がいっぱいいっぱいだった

という事情があり一瞬お断りしようと思ったのですが、「平日4日間拘束」という妙に高い参加ハードルが逆にコアな人たちを集めそうでおもしろそうという期待と、小林先生直々の勧誘なのでできれば乗っかりたいという気持ちとで、気付くとPeatixでチケットお買い上げしていたのでした。

内容

Engadget さん主催ということで、詳しいことは近々アップされるであろうレポート記事をご覧いただくとして、ざっくり書くと

  • 11/6:工場見学・懇親
  • 11/7:アイデア出し、チーム作り、プロトタイピング(廃材で工作)
  • 11/21:制作
  • 11/24:Engadget Fesにて発表(つくった楽器でライブ演奏!)

こんな日程でした。

つくったもの

「食べられる楽器」というコンセプトで、日本全国どこでも10円で手に入る「うまい棒」を使った楽器をつくりました。



うまい棒+トロンボーンで『ウマイボーン』と呼びます。マウスピース部分とスライド部分がうまい棒になっていて、トロンボーンと同様スライドうまい棒を上下に動かすことで音程が変わります


Umaibone Demo1

(ライブ前のお披露目会にてチラッと音出し、の様子)


Umaibone LIVE 1

(ライブ冒頭の独演。実際にうまい棒を操作して生演奏してます)

しくみ

しくみを先に読んでしまうとあまり楽しくない(しくみ自体に発明感はない)ので、あえて控えておこうと思います。


が、ひとつだけ書いておきますと、ユカイ工学さんの「Konashi」を使用しております。


konashiはひさびさに触ったのでこちらの(以前自分が書いた)記事を参考に思い出しつつ実装しました。


ちなみに前回konashiを触ったのは8月ぐらいのこのお仕事でした。


余談ですが、ライブ演奏の前日ぐらいに Konashi 2 が発表され、通信機能が強化されつつ安くなった、ということで Maker Faire Tokyo に行った際にユカイさんのブースで直接買おうと思ったのですが発売は12月でした。。orz


(konashi 2 の変更点)

  • PIOのピン数の変更(8->6)
  • DAC(アナログ出力)未対応
  • UARTの対応baudrateを追加
  • UARTで複数バイトを一度に送受信を可能に
  • I2Cで一度に送受信できるバイト数を、20から16に変更
  • BLEのService,CharacteristicのUUIDを変更
  • PWMを出せるピンがPIO0-2の3本のみに変更
  • PWM波形の仕様変更
  • OTAファームウェアアップデートに対応


ちなみに宣伝的な余談が続いて恐縮ですが、初代konashi開発者の松村礼央さんとiOS×BLEな書籍を執筆中ですのでそちらも出たらよろしくお願いします。

変遷

Play-a-thon日程に沿って「ウマイボーン」の進化の過程を記しておきます。

11/7 廃材でのハードウェアスケッチ


発泡スチロールを円筒形に削り、ガムテープを巻きつけたもの(うまい棒のつもり*2)と、吹き口としての紙コップ、あとLEDがピカピカ光るみたいなイメージで正体不明の赤い半球をつけたもの。Arduinoはぶら下がってるだけ

11/21 プロトタイプ


謎のドアノブ(持ち手のつもり)、測距センサと反射板(紙に白いテープを貼ったもの)、相変わらず発泡スチロールの胴体。うまい棒が文字通り取ってつけてある


一応トロンボーン的にうまい棒スライドで音程を変えられる(こともある)。

11/24 初代完成


3Dプリンタで出力された筐体に(konashi以外の)回路が収まり、うまい棒を使った「食べられる楽器」としての体裁がだいぶ整った。

  • うまい棒スライドで音程が連続的に変化
  • 4オクターブの範囲で音域を切り替え可能
  • 楽器の音色切り替え可能(チューバ、トロンボーン、トランペット、オーボエ)
  • 加速度センサによるサンプラー機能(ライブ演出用)
  • マウスピースをかじると発動するスイッチ

といった機能を搭載。

ライブ当日

Umaibone LIVE2

(真ん中のメガネかけてる吉田氏のウマイボーンだけ本物で、実際に生演奏してます)


(フル動画は準備中です)

クレジット

  • デバイス&ウマイボーン演奏:Takatoshi Yoshida(量子物理学専攻の東大生)
  • 作曲&ライブ演出:川瀬浩介(プロの作曲家)
  • ロゴ、Tシャツ、アプリアイコンデザイン:Hisami Takezawa(デザイナー)
  • 筐体制作:Mitsuhiro Hirano(チームラボで日々デバイスつくってる方)
  • プログラム:堤


(左から、Yoshidaさん、堤、川瀬さん、Takezawaさん。Hiranoさんはこのときお仕事で欠席。。)


ウマイダーQ(Umaider Quintet)*3のFacebookページ:


主催のEngadgetさん、小林先生、YAMAHAのみなさま、参加者のみなさま、チームのみなさん、どうもありがとうございました!!!!


*1:ただし最終日だけ祝日

*2:会場が山奥だったので買えなかった

*3:当初の案はうまい棒+リコーダーだったので、チーム名に「ウマイダー」と付いています