その後のその後

iOSエンジニア 堤 修一のブログ github.com/shu223

第2回フリーランス海外遠征と2016年の生存戦略

1/12〜30の19日間、とあるスタートアップのお手伝いでドイツの首都ベルリンに行ってまいりました。


(今回の雇い主、Norman氏と、ベルリン大聖堂前にて。)


「あれ、前も行ってなかったっけ?」と思ったかもしれませんが昨年11月に行ったのは同じドイツでもバンベルクという都市で、今回とはお手伝いした会社も別です。

きっかけ

昨年9月にベルリンに行った際にお会いした方よりご紹介いただきました。今回お手伝いした会社のCEO、Norman氏がiOSエンジニアを探してるという話が出た際に、僕のことを思い出して繋いでくれたと。


「フリーランスです、iOSが得意です、海外のお仕事大歓迎です」と何ができる/やりたい人かをなるべく多くの人に言っておくといいことあるなぁ、とあらためて思いました。

条件面の調整

既にNorman氏の中でタスクリストとスケジュールが決まってて、

  • 全日程分の報酬
  • +航空券
  • +住居

最初のメールで明示されていました。


僕を使うかどうか判断するための面接みたいなものはなく、たぶんLinkedInプロフィールやGitHubアカウントでスクリーニング的なことは完了していたものと思われます。


で、少しだけ金額面で交渉させてもらって *1、あとはスケジュールについて「順調にいけばそんなな感じのスケジュールで進むかもしれないけど、大抵なんやかんや想定外のことが起こるものなので、全部のタスクはできないかもしれないよ」というところは事前に言って承知していただきました。(このあたりの見積もりの考え方は こちらの記事 にも書きました)

やったこと

例によって詳しい内容はconfidentialですが、もちろんiOSアプリ開発ではあります。


利用技術的にはわりとオーソドックスなもの(一般的なUI+画像処理+ソーシャル機能)なので、漫然と作業すると既存スキルでの時間の切り売りになってしまうので、なるべくSwift的な書き方で書くようにとか、技術的にも何かしら得るものがあるように意識して作業してました。


あと数年ぶりに In-App Purchase の実装をしたのも勉強になりました。*2


勤務時間は8:30〜17:30ぐらい。後述するように僕が住んでいたところがオフィスでもあるので、朝Normanが来て、一緒に仕事して、17:00〜17:30のキリがいいところで彼が帰る、という感じでした。 *3

前倒しで作業を終えてフリータイムに

当初の予定では 12日間 + 残りはフリータイムというスケジュールでしたが、10日目で前倒しで作業が無事完了したので、余った2日分はお金いらないのでそこもフリータイムにしてほしい、と申し出ました。


というわけでまるまる1週間を自由に過ごせることになり、現地のSwift勉強会に行ったり、




あとは去年から始めたもののなかなか手を付けられてなかったプライベートな開発をやったりしてました。ひとりだとどうしてもサボってしまいがちなので、現地で起業した日本人スタートアップのオフィスに毎日のようにお邪魔して作業させてもらったり、知り合いのエンジニアをさそってもくもく開発したりしてました。観光とかは結局ほとんどしませんでしたが、超有意義に過ごせたと思っています。

暮らし

オフィスが普通に住めるアパートなので、そこに住まわせてもらってました。ベルリンの一等地にあるビルの最上階にあり、見晴らしもよく、シャワーやら何やらすべて完備で最高に快適でした。


(オフィス兼宿。ベッドはロフトにあります)


食事は周囲にレストランがたくさんあるので、毎日「今日は○○料理が食べたい」みたいな感じでリクエストして、Normanにおすすめの店に連れて行ってもらう、みたいな感じで飽きることがなく、食生活の面でも充実してました。

英語

最近海外案件を受けるようにしているのは、単純に海外に行くのが楽しいし嬉しい、という以外に、ずっと苦手意識のある英語をそろそろ何とかしないと、ということで自分を英語を使わざるをえない環境に追い込むという目的もあります。


たかが2週間ちょっとでいきなり飛躍的に英語力が向上するわけもないのですが、マシになってきた気はします。Normanと飲みにいってわりと込み入った話をしたり。この仕様はこうこうこういう理由でおかしいからやめたほうがいい、と進言したり。


まぁ、彼が文脈を大いに汲んで理解してくれる、というところも大きいですが。。


ただやっぱりまだまだです。相手がこちらに歩み寄りつつコミュニケーションしてくれる、という前提の上であれば大丈夫なのですが、そうでないケースでの雑談とかはまだまだ厳しいです。引き続き機会を増やしていこうと思います。

課題

まず、海外で仕事して毎回感じることですが、いつもと違う国にいるというだけで、いつもと同じような仕事をしててもめちゃくちゃ楽しいです。たとえば、Auto Layoutの制約をポチポチ貼ってるだけでも「うぉー楽しい!」って思います。こういう高揚感は大事にしていきたいなと。


一方、これもベルリンだけでなくシリコンバレー等に行っても毎回感じることですが、「無力感」があります。仕事をやってみたりハッカソンに出てみたりして、技術的には大丈夫だと思ってますが、誰も僕のことを知らないし(知名度以前に知り合いがいないという意味で)、そういう僕がベルリンに行ったところで、現地の他のスタートアップの方から「会いたい」とか言われることはありません。ミートアップに出ても誰にも話しかけられないし、ましてや人に紹介されることもありません。


で、自分から現地のスタートアップにアポとって会いに行ったり、ミートアップで話しかけたり、といったことをすればいいのですが、それで仕事をゲットできたとしても、それは理想的な状況ではないのです。


これまで僕は数々の魅力的なBLE関連プロダクトに(多くの場合はゼロからアプリを開発するところから)関わらせていただきましたが、


たとえば僕がニュースとかで海外のそういう系の魅力的なプロダクトを知ってからその会社に自分を売り込むのではもう遅くて(メディアに出て話題になっているということはある程度開発が進んでいるか完了しているケースが多い)ファウンダーが資金調達して本格的に開発をしようとするタイミングであちらから見つけてもらえるようにならないといけない。

海外から見つけてもらうためのチャネルをつくる

LinkedIn や AngelList で人を探す場合は大抵「住んでいる場所」でフィルタされてしまうし、このブログとかQiitaとか登壇資料といった僕のアウトプットは日本語ばかりなので、そもそも海外から見つけてもらうためのチャネルが今はない状況。


GitHubアカウントは現状でも多少そういう感じの機能をしてくれてますが、

iOS Samplerシリーズのスター数に関して言えば、スクリーニングフェーズで僕が悪くないエンジニアであることを判断する材料ぐらいにはなってると思うものの、海外に住んでるエンジニアを選ぶ「きっかけ」になるほどの効力はない、と思っています。エンジニアにとって役立つ内容なので多くのスターをもらえてはいるものの、要素技術でみれば誰にでもつくれるものではあるので。


逆に、watchOS-2-Samplerはそんなにスターついてないけど、「(現時点ではニッチな)watchOS 2の開発経験のあるエンジニア」というところで海外から僕を選ぶ「きっかけ」になってくれたわけで、そういうリポジトリを増やしていかないと、と。


長々と書きましたが、2016年の方針としては、もっと海外のお客さんに自分を見つけてもらえるように、

  • 英語でブログを書く
  • 「ニッチスキルに関わる」OSSをGitHubに積極的に上げていく
  • 海外にいったらLT枠とかに応募してみる

といったあたりをがんばっていきます。


*1:海外オファーはレアなので最初に提示された価格でも受けたとは思いますが、普段よりもかなり低めのだったので一応

*2:数年前にローカルにまとめてた実装手順のメモがあったのですが、その頃のコードの酷いこと。。

*3:僕のプライベートを邪魔しないように気遣ってくれてるのか、いつもいそいそと帰る。あと絶対にいきなり部屋に来たりしない