その後のその後

iOSエンジニア 堤 修一のブログ github.com/shu223

2020年のふりかえり:技術への全振りを緩めて新領域に挑戦

2019年は「技術発信のマネタイズ」を目指した1年だった。有料note → 技術書の個人出版 → 案件と全フェーズをマネタイズするしくみができ、これのおかげで2020年はベーシックインカム的に一定の収益があり、新しいことに挑戦できた1年だった。

(2020年は書籍の利益が約200万、noteが約90万)

以下その振り返り。

2020年、成長サイクルモデルの限界

「成長サイクルモデル」というのを書いてみたことがある。

note.com

興味のある技術を勉強する 
→ 発信する 
→ おもしろい仕事をもらう 
→ スキルと実績ゲット 
→ 発信する 
→ おもしろい仕事をもらう
→ ...

というインプットとアウトプットを両輪として循環するサイクルとなっている。

10年間これで楽しくやってこれたのだが、慢性的に2つの問題を抱えていた。

  • サイクルをまわすすべての動力の源泉が「時間」となっている
  • サイクルが「技術」だけに特化している

前者の問題は根深くて、まぁもうこのサイクルは終わってるよねと先の記事では結論づけている。

まさに現在のモデルは自分の時間というリソースが尽きたところで成長が終わる。時間は慢性的に尽きているのでつまりこの成長サイクルは既に終了している。(時間でお金を買うといっても限界がある)

後者の話は、たとえば僕が友人と飲みに行くとか、読書するとか、そういう活動は全部(このサイクルにあてはめてみれば)時間という源泉を奪うマイナス要因となってしまうということだ。いや行けばいいじゃんと思うかもしれないが、実際のところ、高時給がもらえて、つくるプロダクト/サービスも良くて、勉強したい技術が使えて、クライアントも良い人で仕事がしやすくて、っていう仕事がたくさんあるので、どうしても持ち時間を仕事で埋め尽くしてしまうという事態になっていた。

ホリエモン氏のモデル(上述の成長サイクルモデルの記事に書いた)はこのへん非常にうまい具合になっていて、

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  • 基本的に持ち時間をすべて「おもしろいこと」に全振りしておけば勝手にサイクルがまわっていく

  • 本を書くにしても1冊1冊をすべて自身で書き下ろしていく必要はなくて、誰かが過去の文章や講演を再編集したりインタビューしたりしてまとめてくれるので、プロダクト生産の時間コストが限りなくゼロに近づく(ので、おもしろい仕事に全振りできる)。

自分の技術だけに特化したモデルから脱却できないものかなーと考え始めたのが2020年だった。

しかし「持ち時間をすべておもしろいことに全振りしておけば勝手にまわっていく」というサイクルは理想的ではあるけど、僕が仮に全振りしても同じようにはまわらないわけで、自分なりの自分に向いたやり方で理想に近づけていくしかない。そこは考え中。

YouTubeとオンラインサロン

このへんの課題感が、2020年に始めたYouTubeとオンラインサロン(その後コミュニティになった)によりちょっと前進した。

まず1月から開始したYouTubeチャンネル1

www.youtube.com

これのおかげで、会いたい人に会って聞きたい話を聞く、という旧サイクル下ではコスト/機会損失だった行為を自分のサイクルに組み込むことができた。

ほとんど「撮って出し」なので収録以外の時間コストはほぼゼロだし、視聴者のことはほぼ考えず(コンテキストの説明等もほとんどしない)僕が聞きたい話を聞いているので、飲みに行くのと同じような気楽さ・楽しさで運営できている。つまり、マネタイズできなくてもサステナブル。(僕が話したい人がいる限り飲みに行く感覚で続けられる)

さらに、このYouTubeはゲストインタビュー中心だが、その中で僕の「価値観」を発信できていると思う。これは今までのテキストベースのメディアではあまり発信できていなかった部分。さらにもうちょっとチャンネルが大きくなれば、オンラインコミュニティへの送客も期待できる。いい事だらけだ。

5月から始めたオンラインサロン(8月からコミュニティに名実ともに変わった)もまた成り行きで始めたものだけど、これもまた自分の技術「以外」の部分をサイクルに組み込むための重要なチャンネルになっている。

community.camp-fire.jp

そんな感じで、YouTubeとオンラインサロン(コミュニティ)によって、「技術以外の人間活動全般をビジネスサイクルに組み込みたい」というところが前進した2020年だった。

2021年

そんなわけで2020年は今まで技術面に全振りしていた力を少し緩め、 YouTube、コミュニティという新しい領域に挑戦できた。

しかしその反動で技術面は(相対的に)弱くなった2、 YouTube、コミュニティもまだまだ自分の柱と呼ぶには弱い。

そもそも「サイクル」といったものの実はサイクルなんて構築できておらず、 断絶した点と点があるだけでそれらはあまりつながっていない。

この状況、下手したらすべてが中途半端のまま終わってしまいそうな危うさがある。 今は10年間で積み上げたiOSキャリアの余韻で食えてるようなものなので、 下手したら来年あたりは就職活動してるかもしれない。

というわけで、もうちょっとこれらの活動を育てて、ビジネスとして軌道に載せて、サイクルを構築していくのが2021年にやるべきことかなぁと漠然と考えている。(考え中)


  1. このYouTubeチャンネルは最初はVoicyというクローズドな場で展開していた音声コンテンツをもっとオープンなプラットフォームで出したいなと思ったところからスタート。KBOY氏が遊びに来てくれた際にせっかくだから動画を撮ってみますかーというので初めて撮影してみて、あーこんなに簡単にできるんだというのでなし崩し的に以降のエンジニアインタビューも音声じゃなくて動画でやることになった。

  2. 技術面で開拓したところもあるのだけど、話が逸れるのでこれはまた別の記事で。