その後のその後

iOSエンジニア 堤 修一のブログ github.com/shu223

フリーランス10年目でついに法人化した

個人で仕事を受け始めたのが2013年。途中で会社員になった時期もありましたが通算10年以上は個人事業主として確定申告してきました 1

で、2026年に入ってついに法人化したので、ご報告がてらその経緯などを書いておこうと思います。

法人化しなかった理由/法人化した理由

巷では売上1,000万や2,000万超が法人化の目安だと言われますが、それらの閾値を超えても法人化という選択肢はスルーし続けてきました。

理由としては、友人のエンジニア ta_ka_tsu さんが書いたこの記事に強く共感したのと、

note.com

当時の担当税理士さんにも「節税だけが理由ならおすすめしません」(手間や顧問料等の出費も考慮すると節税メリットはそれほど大きくない)と言われていました 2

要は節税メリットを圧倒的にめんどくささが上回っていたからです。

が、昨年あらためてフリーランスに戻り

3年後は無職かもしれないが今ならAIでレバレッジが効く。今のうちに稼がねば!」

と、フリーランスエンジニアとして節税云々には目もくれずひたすら(AIといっしょに)コードに向き合っていたら、いつの間にか税金(所得税+消費税+住民税)の総額が4桁万円を超えてしまい 3、これはさすがに...となってすべてのめんどくささを乗り越えてでもやるしかない、という意思決定に至ったのでした。

法人設立のためにやったこと・考えたこと

今生で二度とやることはないと思いますが、人生の記録として、法人設立までにやったこと・検討したこと・意思決定したこと等をまとめておこうと思います。

本当に法人化するのか?

いったん法人設立へ動き出してからも、何度か「本当にこのまま進めていいのか?」という迷いが頭をよぎりました。

そのひとつが、上にも書いたように、「3年後には今の仕事がどうなってるか想像もつかない、どころか1年後ですらわからない」というところです。今から会社を作ったとて、昨年がピークで、来年・・・いや今年後半には売上は激減してるかもしれない。作って潰すのも大変なのに、面倒な思いをしてまで会社を作るべきなのか。

ただ、法人化を検討し始めた1月時点でも、売上のペースは2025年と変わっておらず、2月も減る予定は特にない。さらに先のことはわからないまでも、現時点でいうとここで法人化しなければ結局また昨年の二の舞になる。少なくとも現時点で売上が減ってない以上、「法人化しないという選択肢は今はない」と判断し、進めることにしました。

社名

人によっては些末なことかもしれませんが、これまで法人化しなかった理由のひとつに、「良い社名のアイデアがない」というのもほんのりありました。

今回走り始めてからもそこは懸念のひとつではあったのですが、友人と雑談しているときにもらったアイデアをそのまま採用しました。

ちなみに以下の点に配慮しました 4

  • 領収書をもらうときに口に出すのが恥ずかしくない
  • 言いやすい、聞き取りやすい
  • 英語でも言いやすい

役員報酬

役員報酬は一度決めると1年間は変えられないということで、これも結構悩みました。

保険料を安くするために最低レベルまで報酬を下げる、というのもよく聞くパターンですが、昨年までフルで個人に入ってきていたものが急に激減してキャッシュフローが回るのか、という懸念があったので住宅ローン+αの生活費を捻出できる程度の金額に設定しました 5

株式会社 or 合同会社

当初は、「売却の予定や融資を受ける予定がないなら合同会社でいいと思う、初期費用も株式会社の半分ほどで済むし、株式会社は色々と煩雑な手続きもあるし」と顧問税理士さんからアドバイスをもらい、司法書士さんにも合同会社設立の方向で見積もりをもらっていました。

が、社名を決めたときに「株式会社◯◯」の方が収まりがよかったのと、既に法人化を経験している友人から「実際そんな面倒ではないですよ、定款も一度決めたら変えないですし」という話を聞き、あとは初期費用だけの違いなら株式会社にしとくか、となりました。現時点ではフリーランスとほぼ変わらない業態ですが、株式会社の方が今後の可能性としても色々とできそうですし。

住所

ここは一番迷い続けたポイントかもしれません。

法人化している友人エンジニアの方々からは、「持ち家なら絶対にバーチャルオフィス契約したほうがいい」と言われていました。法人の住所ってパッと調べれば一発で出てくるぐらいの公開情報になっちゃうんですよね。

しかし、住んでいる鎌倉ではバーチャルオフィスの選択肢は多くなく、住所とポストを借りるだけでも最低でも月1万円ほどかかることがわかりました。地元にこだわらず、大手バーチャルオフィスサービスであれば2000円ぐらいから利用可能です。

ただ、せっかくなら地元に納税したいなぁ & せっかく自分の会社つくるのに全然知らないところの住所になるのもなぁ、という思いがあり、その葛藤を友人エンジニアに話すと「法人の住所なんかどこでもいいのでは」「ポストだけで1万円!高っ!」みたいな反応があり、まぁ確かに法人の住所なんて人に話す機会があるわけでもなし、しょうもないこだわりだろうか...?と。

で、いろいろ迷うのがめんどくさく、新しく探す必要もなく何の事務手続きもいらない「自分んちの住所」でいいのでは、という考えも何度も頭をもたげました。司法書士さんからも「持ち家なら自宅住所でいいのでは」と最初に言われており、近所のエンジニアさんで自宅を法人住所にしている方もいて、実際にそこまで気にするリスクでもないのではと。

そして結局、持ち家でもなく、1万円の鎌倉のポストでもなく、2000円の大手バーチャルオフィスでもなく、ポスト契約を打診してみたらたまたま空いていた近所の個室オフィスをなぜか勢いで契約してしまいました。

法人口座

登記完了してから法人口座の開設が行えるようになるのですが、ここからが結構時間かかりました。

法人口座として定評のあるネット銀行の有名どころはオンラインで比較的サクッと開設できたのですが、開設完了後にそれらは海外からの送金(被仕向送金)に対応していないことを知り、別途対応しているメガバンク系の法人口座を申し込むことになりました。

そこは口座開設のためにオンライン面談が必要で、さらに被仕向送金を行うには為替取引を別途申し込む必要があり、さらにそのためにまたオンライン面談があり、面談予約のたびに最短でも5日ぐらい待つことになり、さらに印鑑登録を書面で送ったりする必要もあったり、面談完了後も被仕向送金が有効化されるまで結構タイムラグがあったりして、なんだかんだ1ヶ月ぐらいかかりました...

その他

(以下もどう検討しどう決めたのか書いていたのですが、だいぶ長くなってしまったので割愛します)

  • 決算日
  • 定款
  • 税理士・司法書士
  • 法人カード

タイムライン

ごちゃごちゃと書きましたが、流れとしては以下のような感じでした:

  • 1月上旬:法人化が頭をよぎるが、ta_ka_tsuさんの前述の記事を読み返し、「やっぱやめとこ」となる
  • 1月後半:確定申告の準備に着手。あれ、これ税金やばくね...?ということに気付く
    • → 面倒だろうが来年のことが不透明だろうがやるしかない
    • → 税理士さんに法人化したい旨を伝える
    • → 司法書士さんを紹介してもらう
  • 2月頭〜末:法人設立準備開始
    • 社名決めたり住所決めたり定款決めたり
  • 3月頭:登記申請完了
  • 3月中旬:申請から10日ほどで登記完了
    • 法人口座の準備にとりかかる
    • 登記完了の前後あたりでお客さんに法人との契約に切り替えたい旨を連絡
  • 4月末:法人口座の準備がようやく完了

司法書士さんに見積もり依頼してから登記申請してくれるまでが思ったより早かったり 6、逆に口座開設に思ったより時間がかかったり、お客さん側で法人への契約切り替えがすぐに対応できずまだ個人の方に売上が入ってきていたりと色々ありますが、ようやく一段落したという状況です。

終わりに

優柔不断かつ事務仕事を先送りにしてしまいがちな自分にとってはかなり大変な作業や意思決定の連続でした。

サクッと友人と会社作ったり、フリーランスを経て早々に法人成りしているエンジニア仲間も周りには多くいますが、みんなこんな大変な作業を涼しい顔してやってのけてたのかと思うと尊敬の念を抱かざるを得ません。

ただ、きっかけとしては単に節税のためではあったものの、「自分の会社」というものができてみると意外にもワクワクしている自分もいたりして、もう50近いですが大人の階段をひとつ登ったような感覚もあり、まぁやってよかったなと。

引き続き、いちエンジニアとしてコツコツやっていきます。


  1. ややこしいのでざっくり10年と書きましたが、丸々1年アメリカでの正社員1本だった2017年以外は日本での事業収入があり確定申告していました(2022〜2025の正社員時代も副業はしていないが副収入はあったので確定申告はしていた)。なので厳密に言うと12年目ぐらいかもしれません。
  2. 今思えばこれを言われたのは年収1,000万ぐらいの頃で、2,000万台時代に同じ質問をしていたら違っていたかもしれません。
  3. フリーランスに戻ってからの売上はnoteで公開しています。
  4. これらも雑談の中でもらったアドバイスです。
  5. 今年こそは住宅ローン控除を受けられるようにしたい、というのもあり、法人設立までに個人に入ってくる売上 + その後の役員報酬 + etc. がその上限に達しないように、という点も考慮しました。
  6. こちらが住所や定款をさっさと決めていれば2月頭にでも申請できたかもしれない