その後のその後

iOSエンジニア 堤 修一のブログ github.com/shu223

オランダの小さな島で開催されたカンファレンス「Swift Island」に参加した話 #swiftisland2018

今月の初旬、「Swift Island 2018」というSwiftおよびiOSをテーマとするカンファレンスに参加してきました。テッセル島というオランダにある小さな島が会場で、

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  • カンファレンス会場にバンガローがあり、基本的に全員がそこに泊まる
    • 部屋は別々
    • チケット代に宿代・食事代も含まれている
  • よくある「スピーカーの話を聴く」聴講型ではなく、「全員が手を動かす」ワークショップ型

というフォーマットで、今までに参加したどのカンファレンスとも違った良さがありました。

ワークショップ主体の少人数制・合宿型カンファレンス

冒頭にもちらっと書きましたが、カンファレンス名に"Island"とあり、一見「島での開催」が本カンファレンス最大の特徴っぽい感じがしますが、実際に参加してみての感想としては、

  • チケット販売枚数は最大50(ソールドアウトだったので、つまり参加者は50人)
  • すべてのセッションが参加者10人ちょっとの少人数ワークショップ形式で、全員が手を動かす

という点が本カンファレンス最大の個性かつ特長であると感じました。日本のSwift/iOSカンファレンスであるtry! SwiftやiOSDCは800人とかの規模であることを考えると、50人というのは非常にコンパクトです。トータル3日も一緒にいれば、全員の顔ぐらいはなんとなく覚えられそうなレベル。

そして、午前1コマ、午後2コマの1日3コマ × 2日間のワークショップがあり、同じ1コマの時間帯に4つのワークショップが平行開催されていて、1つあたりのワークショップの参加者は12〜13人ほど。全員が手を動かします。

そして斬新だったのは同じワークショップは繰り返し開催される点で、このおかげで人数的にあぶれたり、参加したいワークショップがかぶったりしてても別のコマで参加できるので、基本的には出たいワークショップにはすべて参加することができました。

こういうワークショップベースのカンファレンスは今まで経験したことなかったのですが、やはり聴いてなんとなくわかって気になるのと、自分で実際に一度書いてみるのとでは全然「自分のものにした感」が違う、と感じました。

「(都市から多少隔離された)島での合宿型」という形式も、50人というグループの結束が高まる/非日常感によりいつもと違う分野で手を動かすぞという気持ちを盛り上げてくれる、といった相乗効果があったと思います。

どのレイヤで手を動かすのか

参加者全員が手を動かすといっても、その方法、レベル感は講師によって様々で、例を挙げると、

  • Swiftの新機能

    • iOSのプロジェクトと、テストが用意されている
    • そのままだとテストがコケる
    • そのテストが通るように、iOS側のコードを書いていく
    • その際、Swiftの新機能Mirrorとかを使う
  • 機械学習

    • Turi Createを使ったモデルをトレーニングするコードがJupyter Notebook形式で用意されている
    • それを順次実行して学習を回してみる(ここで各ステップについてちょっと解説が入る)
    • できたCoreMLモデルをiOSに組み込む
  • Siri Shortcut

    • 前で講師が解説 → さぁみんなもやってみよう
    • を手頃なチャンクごとに繰り返す
    • 書籍みたいなテキストが用意されていて、ついていけなければ復習もできる
  • Network, Natural Language

    • フレームワーク群を使うiOSアプリケーションのスケルトンプロジェクトみたいなものが用意されている
    • 作業順とヒントが示されていて、各自で実装していく(例: Network FrameworkでUDPによるソケット通信をやるためのクラスとメソッドの定義だけ用意されていて、その中身を実装していく)

・・・と千差万別でした。どの講師の方のサンプル/教材も「どうやったらこのテーマをうまく学んでもらえるか」を考えて推敲してあるなぁと感心しました。

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(Siri Shortcutのワークショップ)

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機械学習のワークショップ)

参加者同士のコミュニケーション

全員が基本的にはワークショップ開始前日に到着するのですが、その「前夜」にもう既に参加者同士の輪が出来始めていて、自分はそこに飛び込めず、「やばい、このままずっとぼっちで過ごすのか・・・」と一時不安にもなりましたが、朝・昼・晩と食事がついていて、大きなティピーテント内にいくつか置かれたテーブルで基本的には相席になるので、そこで絶対に話す機会はあるし、

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ワークショップでも隣同士で話したり、Pub Quizといったチームで挑むイベントがあったりで、コミュニケーションのきっかけに困ることはありませんでした。

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ちなみに他のヨーロッパの国々から来てる人はいたものの、飛行機で10時間以上かかるところからわざわざ来たという人はいなくて、ヨーロッパ外からの参加は僕だけだったかもしれません。そのあたりで珍しがってもらえたというのもコミュニケーションの一助になった気がします。

テッセル島

会場のテッセル島は首都アムステルダムからものすごく遠いというわけではないのですが、電車と船と予約制バスを乗り継いで行くので、なんだかんだで半日かかります。

人より羊が多いらしく、とにかく何もありません。

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島での滞在中は自転車をレンタルして、朝とか夜とかにいろいろ周りました。灯台を目指してみたり、対岸の海の方に行ったり。

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好みがあるとは思いますが、僕はこういうところをのんびりサイクリングするのは大好きだし、車もほとんど走ってないので会話もじっくりできて、最高でした。

アムステルダム

今回テッセルには4泊したのですが、オランダははじめてだったので、その前後でアムステルダムに合計6泊しました。

マリファナが合法、ビザが取りやすい、ぐらいの前知識しかなくて、僕はそれらに興味がなかったので、実はとくにワクワクすることもなく現地に赴いたのですが、行ってみれば移住したいと思ってしまうほどに気に入りました。

  • アムステルダムは「運河が張り巡らされている港町」
    • もともと海が近くて川が流れてる街が好きな自分にはどストライク。
    • 運河をつなぐ橋の袂には大抵カフェがあってみんな屋外でビール飲んでる。

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  • オランダ全体が自転車社会

    • 自転車専用のレーンが整備されててあらゆる場所に自転車を止められる
    • アムステルダムも街が大きくなくて自転車で事足りる
    • (ペーパードライバーな自分は車社会のアメリカでは生きづらかった…)
  • 気候も良い

    • 暑すぎない、それでいてちゃんと暑い夏 1
    • 毎日快晴(※これはたまたまそうだったのかもしれない)

まぁ、しばらく滞在しているといくつか好きではない面も見えてきましたが。。いずれ1ヶ月とかアパート借りて執筆やリモートワーク、みたいな感じでもうちょっと長めに過ごせたらいいなと思います。

お金の話

  • チケット代+自転車レンタル+テッセル延泊+テッセル移動・・・合計€1000ぐらい 2
  • 東京 <-> アムステルダム往復航空券・・・$1340 3
  • アムステルダム6泊(3泊 + 1泊 + 2泊。全部Airbnb・・・合計$950ぐらい
    • 後で気付いたが、1泊とか2泊ならアムステルダムの場合はホテルの方がお得。チェックインも楽だし。
  • モバイルWi-Fiルータ、SIM・・・合計20,000円ぐらい
    • 空港でSIM買えたのでWiFiルータいらなかった。というかアムステルダムでもテッセルでもほとんど繋がらなくて、使えなかった。。
    • SIMは快適でした
  • 食費・・・数えてないが、それなりにかかってるはず

ユーロとドルと円が混じってますがざっくり35万〜40万円といった感じでしょうか。目を背けたくなる金額ですが、しかし、海外の知らない土地に行って、新しい人達と出会って・・・というのは自分にとって重要な人生の醍醐味で、ここをケチって何のために稼いでるのか、というところだし、新しい技術を学ぶきっかけというのは(腰が重い自分にとっては特に)いつでも価値あることなので、100%行ってよかったと思えます。4

まとめ

Swift Island 2018について書きました。要点をまとめると、

  • 少人数・ワークショップ主体のカンファレンス形式がとてもよかった
  • アムステルダムいいところだった
  • お金はかかるけど、たまにはこうして海外カンファレンスに参加するのはいいものだ

といったところです。またチャンスがあれば参加したいと思います。

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こちらもどうぞ:これまでの海外カンファレンス参加記事

note.mu

d.hatena.ne.jp

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  1. サンフランシスコみたいな「涼しい夏」は夏を過ごした感じがしない。。

  2. 海外のカンファレンスは高いのです。というか日本のが安い

  3. 夏の繁忙期なのでちょっと高い

  4. ちなみにオランダ滞在中にリモートワークも少ししたのですが、旅費の半分ぐらいは相殺できていると思います。