フリーの仕事をいったんお休みして、ドイツはベルリンに17泊19日の旅程で行ってきました。いよいよ今日が最終日なので、諸々ふりかえりたいと思います。
そもそもの目的
ドイツ行きを決めた動機は、「Hacker Paradise への参加」です。Hacker Paradise というのは「旅をしながら働く」人たちのコミュニティで、世界の国々を4週間ごとに移りながら活動しています。
で、そもそもの Hacker Paradise 参加の目的は、以下のようなものでした。
1. 仕事ではできない技術的な勉強をする時間を確保する
- iOS 9 や watchOS 2 の新機能について調べ、iOS-9-Sampler *1 / watchOS-2-Sampler に実装する
- 音声処理や画像処理等、今後強みにしていきたい分野のテコ入れ
- 人工知能や機械学習等、興味はあるもののなかなか手を付けられていない分野に手をつける
2. 英語で話さざるを得ない環境に身をおく
- シリコンバレーから出戻って以降のここ2年ぐらい、まずは技術力と実績を積み上げようということで、(重要だと思いつつも)「英語苦手問題」は無視してきた
- IoT/BLE周りで、いろんな実績もつくれたし、書籍も出せたことだし、そろそろまた英語/海外に向き合うべきときが来つつある、と思うようになってきた
そして Hacker Paradise の次の行き先がちょうど行ってみたかったドイツだった、というのがベルリンに行くことになった理由です。
後付けの目的
そんなわけで「ベルリン/ドイツ」という選択自体には何か強い理由があったわけではなかったのですが、行くことを決めてから、そういえば何人かの知り合いから「ベルリンのスタートアップ界隈が熱いらしい」という話を聞いたことを思い出し、
それに加え、ドイツ行き直前ぐらいにフリーランスとして初の海外案件をいただく、ということがあり、
そんなこんなで完全に後付けですが、
3. フリーランスとしてベルリンで案件を獲得する(もしくはその可能性の模索)
という目的が加わったのでした。
これらの目的に対してどうだったのか、それぞれ振り返ってみます。
1. 技術の勉強:達成度10%
iOS 9 の勉強(と実装)をやれたのはたぶん2日ぐらい。音声処理の勉強も2日ぐらい。
目的が複数あり、これが一番優先度的に低く考えていたので、達成度が低いのもある程度想定内。(正月休みにアレコレやろうと思っても大抵10%ぐらいしかできないのと同じパターン)
2. 英語コミュニケーション:達成度100%
この「100%」は「英語コミュニケーションが完璧にできた!」という意味ではなくて、ビビリつつもちゃんと外国人に囲まれる環境に身を投じることができたという意味です。
- 初日から英語でピッチ
- 全然伝わらなくて、たまたま近くにいた初対面の日本人の方に泣きついて通訳していただいた
- 2日目のランチ
- この写真では笑顔だけど、この後みんなが英語で会話し始めると、まったく聞き取れないのでひたすらもくもくとカレーを食べ続ける
- 遅くまでコワーキングスペースに残っていると晩ごはんに誘ってくれた
- 自分以外に2人までなら相手も会話に入れてくれるし何とかやっていける、という成功体験ができた
- Goodpatchベルリンオフィスにて今後の仕事の可能性についてミーティング
- これも自分以外に2人だけなのと、あと会話に目的(ゴール)があると話せる、という成功体験ができた
- 食材持ち寄りパーティ *2 にて
- みんなの談笑にまったくついていけず、料理もできないので、ただただ相槌だけを打っていた
- ちなみにこのヘルメットは「全天球から音が聴こえるようになる」というアタッチメントをつけたもの。みんなが順番に試していて、順番なのでかぶらせてもらえた
- 帰り道、たまたまハッカーパラダイスの2人に会ってそのまま深夜まで橋の上で飲んだ
- 相手が自分以外に2人まではOK、の法則発動、しかもこの2人はすごくゆっくり、わかりやすく話してくれるので楽しかった!
その他にも、
- Hacker Paradise のメンバーで、iOS を勉強中の人に色々と質問されるようになり、iOS SDK や Swift、Xcode について教える
- ハッカソンでチームに入って共同制作
- 朝食・昼食に一緒に行く
等々、(もくもくプログラムを書くことに逃げがちな)自分にしてはよくやったなぁと思っています。
まあ、上のコメントにちょくちょく書いてある通り、みんなが英語で普通に(自分向けにゆっくり話してくれるモードじゃなく)話し始めると、まったくついていけない。文脈自体を見失って、情報を95%ぐらいロストするので、とてもじゃないけどチームで仕事できる気がしない(大事なミーティングで何も理解してない、ってことになる)。要努力。
3. 現地フリーランス案件獲得:達成度30%
上の写真の通り、Goodpatchさんのベルリンオフィスでは今後の仕事の可能性についてミーティングさせてもらえたのですが、ほんのすこしでもベルリン案件の可能性の種ができたとすればこれぐらい。
ただ達成度30%としたのは、多少行動だけはしたかなと。
こっちで教えてもらった BERLIN Startup Jobs っていうサイトに載ってるiOSエンジニアの募集10件ぐらいに対して応募メールを送ってみたのですが、「欲しいのはフルタイムで、フリーランスは募集してないんだよね」「このポジションはもう決まっちゃったよ」という返事だけが返ってきました。
ちなみに送ったのはこういうメール。(募集内容に応じて多少変えたりはしました)
My name is Shuichi, I'm an iOS developer working in Japan as a freelancer.
I'm interested in the position: http://berlinstartupjobs.com/xxxx
My GitHub accoun has almost 10,000 stars and it's ranked #14 all over the world in ObjC category:
Of course I can write with Swift.
Please check my achievements in my LinkedIn account:
I have many experiences in IoT field using Bluetooth Low Energy (BTLE/BLE). In addition, I'm the author of 2 books and both of them won #1 sales in Programming category of Amazon.
I'm visiting Berlin and stay until Sep 6th. I'm happy to meet you here.
せめて会うところまででも漕ぎ着けられたら、少なくとも英語ミーティングの経験は増えるし、ダメならダメで何が足りないのかの感覚がつかめるだけでもいいかと思ってたのですが、それすらも成らず。。*3
他にもミートアップ的なイベントにも参加したりもしました。が、「英語が下手でフルタイムで入れない外国人フリーランスでもいいからiOSエンジニアが欲しい」という人にそんなにうまいこと会えるわけでもなく。。
ただ、ハッカソンに出てオーディエンス投票1位 を獲ったあとは、結構いろんな人が声をかけてきてくれました。仕事を頼みたいっぽい人もいました。
Congrats to Shu for winning the audience price. Have fun with the drones #travelhack #startupnight pic.twitter.com/py3YqzTPXP
— 4Scotty.com (@4Scottycom) 2015, 9月 5
やっぱり、ミートアップより「つくって力を示せる」ハッカソンの方が営業の場としては自分に向いてるなと。
住環境
ベルリンに来るは初めてで、土地勘もないので、2箇所ぐらいは住んでみよう、ということで、前半の1週間はここに、
後半の約10日間はここに住みました。
結局どっちも「クロイツベルク」というエリアなのですが、前半の方はクラブストリートど真ん中にあって、週末は四つ打ちが一晩中ドンドンと鳴り響く場所にある築100年ぐらいの古いアパート(中は綺麗)で、
後半は川沿いにある、いかにもアーティストの家、って感じのアパートでした。
ちなみに前半はホストファミリーが住んでるところの一部屋、後半はアパートまるっと貸しでHacker Paradiseメンバーとの同居(寝室は別々にある)でした。
コワーキングスペース
「betahaus」(ベータハウス)という、5階建てのコワーキングスペースのフルタイムメンバーになって、滞在中はほぼ毎日通いました。
(このカフェスペースの奥にも部屋があり、上にさらにフロアがある)
ベルリンで知り合った方のつてで Factory Berlin というところでも1日だけ作業させてもらいましたが、betahaus はちょっと安くてアーリーステージ(という用語が適切かは不明)のスタートアップとか個人が多く、Factory の方がもうちょっと会社として回り始めたスタートアップが多い、という印象でした。
食事
ビールは安いし、料理は肉がドーンという感じでどれも美味しかったです。
たとえば右奥の「シュニッツェル」はでかいトンカツに大量のポテトサラダがついてくるみたいな料理で、とても美味しいのですがこれでさらにビールも飲むと確実に太りそうです。
費用
超ざっくりですが35万円〜40万円ぐらいかなと。この間は仕事してないので(※1日だけやった)、その機会損失分を考慮するとなかなかの投資。でも言わずもがなでこういう経験はプライスレスだと思っているので、今後もどんどんやっていきたい所存。
おわりに
達成度とか書いてしまうとあまり満足してなかったように読めてしまうかもしれませんが、自分としては100%来てよかったなと感じています。あまり時間がとれなかったとはいえ「仕事ではできない(技術の)仕込み」も多少はできたし、英語コミュニケーションの経験もいくらかできたし、ベルリン案件獲得についてもいろいろと学びがありました。あと現地で働いている日本人の方々にもたくさんお会いして、飲みに行ったり観光に連れて行っていただいたりもしました。日本にいて仕事に没頭していると「いつの間にか」過ぎてしまっている2週間が、こうも濃密なものに変わり得るのか、という感じです。
頻繁にできることではないけど、こういうチャレンジは続けていきたいと思っています(という意味を込めてのタイトル)。ベルリンでお世話になったみなさま、ありがとうございました!