その後のその後

iOSエンジニア 堤 修一のブログ github.com/shu223

「外国企業から仕事を受けてたまに海外に行ったりしたい」という憧れが叶った話

10/29〜11/29のまるっと1ヶ月間、ドイツはバンベルク(Bamberg)という都市でフリーランスとして出張仕事をしてきました。早いものでついに今日で最終日なので、諸々ふりかえってみたいと思います。(※ちなみに当方iOS専業フリーランスエンジニアです)

きっかけ:ハッカソンでの営業活動

標題に書いた通りですが、基本的に日本に住みつつ、たまーに海外に行けたら楽しいだろうな、という目標というか願望がありまして。


で、9月にベルリンへ 行った際、参加した現地のハッカソンで、オーディエンス投票1位をとったことが引き金になりました。


ここで終了後に会場内で、同じく参加していた Artirigo 社の CTO、アンドレ(André)が僕に話しかけてくれました。


で、僕はいつでも自分アピールができるように、コンパクトな Moff と、日本語とはいえ物量で圧倒できる自著毎日持ち歩いていたので、すかさずデモしたり、WHILLの動画も見せたり、GitHub 活動 もアピールしたりしまして、「ワオ、実はエンジニアを探してるところなんだ、CEOと相談してみるよ」ということで連絡先を交換したのでした。


で、日本に帰ってからすぐに連絡来てスカイプでちょこっと話して、お金やスケジュールをメールベースで調整して、一週間後には正式にオファーをいただいたのでした。




条件面の調整

最初のスカイプで自分の日本での単価を伝えはしましたが、ドイツの相場はわからないし、僕としては値段が理由でスパッと断られると残念でしかない *1 ので、スカイプ中にも、スカイプが終わった後のテキストチャットでも、

I can change my fee for German price. Please feel free to tell me when it's too expensive. I really work with you.

(フィーはドイツの値段に合わせて変更できるので、高いと思ったら言ってくださいね、ほんと一緒に仕事したいんです!)


と弱冠しつこいぐらいにお金の問題で話が立ち消えないようにはしました。


で、その後あちらでの検討を経て提示された条件は、ほぼ希望通りの単価、その代わり今回は航空券代、宿泊費等は自分で持つ、というものでした。


通常は仕事で必要になった出張の交通費や宿泊費はいただきますが、本件に関しては「ドイツに行って仕事したい」というのは僕側の要望であって、「じゃあリモートでもいいよ」と言われてしまうと僕としては嬉しくないので、この条件で二つ返事で承諾させていただきました。

バンベルク(Bamberg)

今回の話が出るまで僕も知らなかったし、ベルリンに住んでいる知り合いの人たちも知らなかったようなので結構マイナーな街なのかもしれませんが、

見応えのある旧市街は、ドイツでも最もすばらしく無傷に保存された歴史的な市街地であり、1993年にユネスコの世界遺産に登録された。(by ウィキペディア

ということで街ごと世界遺産で、中世の街並みがそのまま残っているような大変素晴らしいところでした。



最初に借りたアパートのある路地。真向かいに古くて大きい教会があって、鐘がゴーンゴーン聞こえて非常に趣があった



2つ目のアパートは川沿い。築500年ぐらいのこれまた素晴らしいところでした。



ちょっと遠く(といっても歩ける距離)にある小さい古城、Altenburg。ここは他の教会とは違って塔の中に入って登れたのがよかった



バンベルク大聖堂。文字通り神がかってました。。



すごくコンパクトな街で、徒歩でだいたいどこでも行けてしまうので、ペーパードライバーでアメリカはちょっと辛かった自分としてはそこもお気に入りポイントです。


ちなみに日本人は全然いませんでした *2 。日本料理屋で一見日本人ぽい人がいたので聞いてみたら、うちには一人も日本人はいない、とのこと。(メニューも、味噌汁が Misohiru だったり、唐揚げが Karrage だったり微妙に間違っていた)

仕事

詳しい事業内容はまだ秘密なので書けないのですが、僕がやることはもちろん iOS アプリの開発。ビーコンとか位置情報とかが関わってくるので、個人的には技術領域的にも楽しかったです。

業務時間

9時半〜18時ぐらい。他の人は9時〜17時ぐらいには帰っている印象。僕は仕事は全然苦じゃないというかむしろ楽しいのでだいたい最後の人がオフィスを出るタイミングで一緒に出る(最初は鍵渡されてなかったので)という感じでやってました。

オフィス

オフィスは新市街の閑静な住宅街にあります。旧市街の僕が泊まっていたアパートからは徒歩10分ぐらい。


僕のアパートは非常にネットが遅かったのですが、オフィスは専用回線を引いているのか、素晴らしく速かったです。あとデスクが高さを電動で変えられるようになってるのがすごい便利で、昼食後の眠い時間にはいつも高さを上げてスタンディングデスクにしてました。



で、これまた素晴らしいのが、キッチンがあって、ランチをつくってくれるコックさんがいるところ。



毎日こうやってみんなで手作りランチを食べてました。

英語

僕にとっての最大の不安はコレでした。Hacker Paradise に参加した際の記事 にも書いたのですが、

みんなが英語で普通に(自分向けにゆっくり話してくれるモードじゃなく)話し始めると、まったくついていけない。文脈自体を見失って、情報を95%ぐらいロストするので、とてもじゃないけどチームで仕事できる気がしない(大事なミーティングで何も理解してない、ってことになる)。


というレベルなので、果たして仕事になるのかと。正直なところ、途中で「こいつダメだ」ってクビを切られる覚悟すら持っていました。


が、基本的にCTOのアンドレと二人で仕事をするのが中心だったのと、彼がとても親切で、僕の拙い話を腰を据えて聞いてくれるし、うまく言えずにいると文脈を汲んで「〜っていうこと?」と提示してくれるし、僕が聞き取れないときも別の言い方をしたり図を書いてくれたり *3 、、、ということでコミュニケーションは何とか大丈夫でした。


やるべきことや優先度についてちゃんと理解できさえすれば、あとは「手を動かす」という自分が確実に貢献できるところなので、結果的にはだいぶお役に立てて、クビになることもなく、「今後も引き続きお願いしたい」ということをファウンダーの人達にも言っていただけました。来年あたりにまた呼んでもらえそうです。


ちなみにドイツの若い人はめっちゃ流暢にペラペラしゃべります。少なくともArtirigoのメンバーはシリコンバレーで働いている非ネイティブ、ぐらいにはみんな話せる印象。で、ドイツではみんな英語話せるのか、と思いきや、年配の人は話せない人が多い。(たとえばランチつくってくれてるコックさんは話せない)

まとめ

というわけで1ヶ月間のバンベルク滞在、最高でした。


ただ、今回の件はたまたま色々な幸運が重なった感があり、まだまだ「外国企業から仕事を受けてたまに海外に行ったりしたい」ということを定常化するには実力不足だとは思っています。語学的な話だけではなくて、わざわざ海外から呼び寄せるほどのレアスキルを持っているわけでもない、という点でも。引き続き精進してまいります。

お知らせ

帰国してすぐに、2つのイベントに登壇します。


ひとつ目は PARTY の清水幹太さんにお声がけいただいた「Demoday.tokyo」というピッチイベント。




デモデイ、ということで、仕事以外で、何かつくったものを発表する場、とのこと。ただ僕は基本的にお客さん仕事が大好きで、ありがたいことに楽しいお仕事ばかりなのであまり個人制作とかはやっていません。で、どうしようかなーと悩んでたのですが、オープンソースで公開している iOS Sampler シリーズ のおかげでこうやって一介のフリーランスエンジニアに海外から仕事が来たりしてるので、そういうキャリア戦略込みで話をしようかなぁと思っております。



ふたつ目は「キャリアごはん」というエンジニアtypeさん主催のイベント。



  • 楽天株式会社 技術理事 吉岡弘隆さん
  • 株式会社トレタ CTO 最高技術責任者 増井 雄一郎さん
  • 株式会社ソラコム Cofounder&CTO 安川健太さん
  • フリーランスiOSエンジニア 堤 修一さん

というすごい方々に混じって登壇させていただきます。先着80名とのこと。どうぞよろしくお願いします!


*1:実際に値段をどれぐらいまで下げられるかは他の仕事や予定との兼ね合いで判断が変わってくるところですが、他にこういう海外にいける話もないので、とにかく断られる前に相談・検討させて欲しい、という意図

*2:滞在中「住んでいる日本人」というのは一人も会わなかったし、そういう人がいるという話も聞かなかった

*3:あと一度もそういう状況について一度も嫌な顔をしない、どころか常にサワヤカに接してくれる、という彼の人間性に随分救われた